牧野虚太郎未収録詩編

鮎川信夫研究―精神の架橋 (学術叢書) 作者: 宮崎真素美 出版社/メーカー: 日本図書センター 発売日: 2002/07 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る 必要から宮崎真素美の『鮎川信夫研究――精神の架橋』を読み直していたが、牧野虚太郎…

石原吉郎―――単独者/絶望/弁証法

石原吉郎とキルケゴール。この二人について、むしろ、その「近さ」ゆえに語られることが少なかった、あるいはほとんどなかったように思える。どちらも、キリスト教を思想の根幹に据えて、全体の中の「個」を擁護する思想―――普遍的なものに上昇してゆく運動を…

なし崩しの果てに―――松本圭二小論

詩は、カミソリで身体中を切り裂くような行為だもんね。違うかね。違うならじゃあおまえらはどうやって詩を書いているんだ。俺は血だらけの詩を浴びるほど読んで来たよ。早稲田通りの「あらえびす」に籠って。 (松本圭二「ダブル・コックローチ」) 松本圭…

「絨毯爆撃がしたい」

時間がない。 『子午線』に載った松本圭二の「マツモト・エレジー」を読んでいたが、最近は、また「モード」が変わったのではないか。 2016年5月号の『ユリイカ 石原慎太郎特集』(しかし、何故石原慎太郎特集に載るのだろうかと思ったが、松本圭二も「イシ…

適当

江戸時代には乱心者(精神病者)に対する監護処置として、入牢・檻入・溜預という制度があった。入牢は、家族、家主や五人組などの入牢願いによって、乱心者を監禁する制度であり、檻入は、居宅に作った「囲補理」(檻)に監置し、入牢と同様に、家族、家主…

『人間失格』の三枚の写真と、幽霊

人間失格 作者: 太宰治 発売日: 2012/09/27 メディア: Kindle版 クリック: 3回 この商品を含むブログ (1件) を見る ここに三枚の写真がある。この三枚の写真について、一つ、二つ考えてみようと思う。それ以上でも、それ以下でもない、三枚の写真について語…

「別れる理由」は気にならない

『別れる理由』は、「別れる理由」を探している小説である。だが、誰と誰が別れるのか、何と何が別れるのか、それすらも分からない。ただ、そこには、何らかの「理由」が存在して、対象を見失いながらもその「別れる」という運動は続けられる。あるいは、そ…

「確認される死の中で」―――石原吉郎と安川奈緒

石原吉郎と佐古純一郎の対談(『キリストはだれのために十字架にかかったか』)において、石原はこのような発言をしている。 石原 ひとりひとりで死ぬ機会を失うことは、人間にとって最も不幸なことだと思いますね。ひとりで死んだということは、最終的な救…

太宰治『葉』試論―――切断/接続/転回

(力尽きた。これも失敗) 0.はじめに 太宰治の「葉」は処女作品集『晩年』の中でもあるいは太宰治の全作品においても、もっとも前衛的な作品に位置づけられるだろう。前衛的な形式による「語りにくさ」が、ある種の魅力を作品に与えているように思える。…

太宰治『ロマネスク』―――弁証法としての「ロマネスク」

(これも上手くまとまらなくて破棄したもの) 0.はじめに 『ロマネスク』は、「仙術太郎」「喧嘩次郎兵衛」「嘘の三郎」という三つの小篇によって構成されている。「仙術太郎」は、神梛木村の庄屋の息子である太郎は、かつて奇跡を起こして<神童>と呼ばれ…

太宰治「道化の華」―――「復讐」と分裂化する「現実」

(注:上手く書けなくて廃棄したもの) 「道化の華」という作品をどこから論じ始めればよいか。この困難さの理由の一つとして、作品が、判断を停止して宙吊りの状態で放棄されているような印象を受けるからではないか。後から見ていくが、構成する特異な作品…